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「しかし、君も掴めないやつだなぁ」


 後頭部に手を添えてひとつの枕に頭を落とさせながら鶴丸が笑った。長い口づけの間で眼帯も恭しく外された為、金具と後頭部が擦れる心配もない。優しい仕草でも、頭の重さで枕の中身のひのきのチップが鳴る。良い香りになる様にとわざわざ購入したものだ。耳の裏でそれを聞きながら唐突な笑いを見上げた。
 

「素直なのに読めないってすごいよな。最近、貞坊の言ってたことが良くわかる」
「別に鶴さんが言う程素直ってことはないと思うけど。貞ちゃん、何て?」

 

 左手で自分の体重を支え、燭台切に覆い被さってくる。明かりは点いているのに鶴丸に遮られて、燭台切は人工の光に目を眩ませることもない。
 後頭部に添えていた右手は枕に支える役目を譲って、今度は首筋を手のひら全体で撫でてくる。

 

「『みっちゃんはすっげー格好良いけど、あれでいてすっげー面倒くさいとこもあるから、中途半端な気持ちならやめときな』って。さすが君の相棒だ。君のことを良く知っている。そしてあの時の貞坊は格好良かった」
 

 くすくす笑いながら今度は喉を撫でてくる。くすぐったいし、鶴丸も楽しそうだが釣られて笑うことはない。抗議の為という訳じゃないが、燭台切の頬の隣で支柱となっている鶴丸の左腕に触れる。
 

「貞ちゃんが格好良くて僕の最高の相棒だってことは全面的に同意するけど、僕そんなに面倒くさくないよ。普通だよ」
「毎回俺のすることに律儀に驚いてくれるし、かと思えば突然の初夜宣言にはあっさり頷いてバッチリ準備してくれるし。それでどんとこい、みたいな態度とってた癖にあんな言葉だけで逃げ回って、あげく優しくしてくれ、だぞ?難解過ぎるだろ。さすがに読めんぞ」
「うん、自覚した。面倒くさいね、僕」
「そういう君に振り回されるのが楽しいって言ってるのさ」

 

 体を屈めて頬にちゅ、と唇が落ちてくる。こういう接触はいちゃいちゃしてるなぁ、と強く思う。嬉しい。
 

「それに面倒くさいって、そんなに悪いことじゃないと思うぜ?あるがままを受け入れるなら刀の時にも出来る。面倒くさいを楽しんでこそ人の身を得た意味があるじゃないか」
「そうだね、それは僕もそう思う」

 

 小さなことに拘ったり、矛盾を孕んであっちこっちしたり。そういうのは刀の時には出来ないことだ。面倒くさいことでもひとつひとつを楽しんで、大切にするからこそそれが積み上げって出来た時間の流れも大切にしたいと思える。
 さっさと吐き出してしまえる熱も、こうして回りくどく面倒くさく、だからこそ忘れられない時間になるだろう。
 話している間もちゅ、ちゅ、と薄い唇は燭台切の左頬を鳴らしていた。時おり耳まで掠めるのが特にくすぐったくて首を竦めると今度は右頬へと移動する。またもや頬を口づけるのかと思いきや、かぷりと耳を噛まれた。

 

「ひっ、」
「へぇ君、右耳の方が弱いんだな。死角に対して敏感に発達してるのか」
「ぃ、ん、ぁな、なんでそこ噛まれると首、すーすーするんだい?変な感じする」
「すーすー?どこだ?ここか?」
「あ、撫でながら、ぅ、噛まれるのは・・・っ」

 

 ゆっくり首筋を撫でながら耳を食まれ、あげく湿った息をふぅと吹き込まれる。力が抜けるのに、ぞくぞくとしたものが背中から足先まで走り回るから、釣られて膝が動く。素足の裏がシーツに擦れるのも拍車をかけた。
 撫でていた手がいつの間にか襟に手を掛け、肩から着流しを肌蹴させていることにも意識がいっていなかった。右耳ひとつ支配されただけで。

 

「ふふ、弱点ひとつ見っけ。ここだけずーっといじめるのも楽しそうだな。いつかやってみよう」
 

 今日は慈悲をくれてやろうと言わんばかりに、唇は最後に一噛みして離れていった。不穏な言葉より、耳への感触がまだ残っている。右耳の聴覚は死角の助けとなっているが、まさかこんな弊害があるとは。一気に体のリズムが狂った気がする。
 鶴丸はそんな体の首筋から鎖骨へと唇を触れさせていく。肩や、腕や、呼吸が浅くなり始め上下を繰り返している胸の素肌を撫でながら。

 

「鍛えられてる筋肉は固いっていうよりしなやかだよな。羨ましい」
「んっ、くすぐった、いよ」
「俺なんか断崖絶壁だからな。薄くて固い」

 

 鎖骨に息を触れさせながら、細い指が胸元を何度も撫でる。撫でると、いうか揉むような手つきだ。そんなにこの胸筋が羨ましいだろうか。
 肌に立てるように揉む指と違って手のひらは胸全体を押し上げる。その手の中のある部分が擦れるとくすぐったいが強くなる。

 

「そん、なに羨ましい?僕、鶴さんの胸も好きだよ」
「でも俺の胸、君ほど素質無さそうだしなぁ」
「素質?」
「こういう素質」
「っ、」

 

 突然胸の飾りをきゅ、とつまみ上げられた。軽くではあるが、ぴくんと体が反応した。
 

「痛いか?」
「い、痛いっていうか、び、びっくりした」
「おっ、驚いたか。そりゃあ良いことだ」

 

 と言いつつ今度はつまみ上げることはしない。曲げた人差し指の側面と親指の腹で、そこをくにくにとこねだした。
 

「っ僕の体、男だからそこ触っても、意味な、いんじゃ?」
「あるさ。俺が楽しい」
「う、っ」

 

 楽しいと言われてしまえばそれ以上何も言えない。だが強弱をつけてこねられると、勝手に首が横に振られまるでぐずっている形になる。自分でも何故か分からない。
 

「つ、るさん。そこっ、ずっとされると、んっ、ひりひりする、かも」
「んー、そうか。ならもっと柔らかい部分で刺激した方がいいか」

 

 だから手を引いてほしいと暗にそう言うと、納得した様に頷いて指を退けてくれた。しかしその代わり薄い唇をそこに寄せる。中から鶴丸の言う柔らかい部分、赤い舌を伸ばして。
 柔らかい肉の波がゆっくり這わされていく。

 

「ひ、うぅ」
 

 ぞわぞわぞわ、と何かが背中を這い上がる。決して強い刺激でも激しい感触でもない。むしろゆっくりと固い氷菓子を舐めるよりも優しく舐められているのに、無意識な右手は枕の端をぎゅっと握る。まるで責め苦に耐える為に。
 

「ど、してそこ舐めるのっ?」
「んー?」

 

 ほどよい弾力、熱い滑り。人の身のどことも違う部分がねっとりと、飾りを這う。その感触に唇が、舌が痺れる。
 その感覚を叱るように自然と左指が唇を摘まんだ。叱るためなのに、摘ままれる刺激と唇が指の皮膚で擦れるのが、ますます痺れを強くする。

 

「は、ぁっ・・・、だめだよつるさん、そこ意味ない、ってばぁ。ぼく、おとこの体だか、ら!」
「ふふ、明らかに良い反応をしておいてかわいい言い訳をするんだな」
「ちがう、これっ。ぞわぞわしてるん、だよ・・・っ」

 

 変な感じがする。不安にも似た感覚だ。眉を寄せたくなる切なさに、ぞわぞわ、なのにひりひりしてくる。
 

「気持ちよくないって?」
 

 こくこくと焦って頷いた。
 

「へぇ、そうかぁ。なら、一緒に触ってやろうな。そしたら気持ちいいのがわかる」
 

 しゅるりと帯が抜かれ、完全に前が開かれた。そしてよく見えるようになった黒の下穿きに手を伸ばし、人指し指で下から撫でる。
 

「ぁ、」
「君のことだ、これ新調したんだろう?」
「う、うん」
「なら染みになるのは避けた方がいいな」


 直接手を突っ込まれる。鶴丸の手が、性を優しく握った。
 

「いぁ・・・っ」
「・・・でかい、な。興奮する」
「やっ、うぅ」

 

 人の手の感触。自分で触るのとはまったく違う。好きな相手の、鶴丸の手だ。そう思うと、まともに息をするのも難しくなる。
 心臓が異常な早さで脈を打ち、鶴丸が触れる性に血を送る。どくどくと、集まる熱さがじわりと先端を滲ませる。確かに下穿きをはいていたら染みを作っていただろう。
 鶴丸は新調した下穿きをずり下ろし、明かりと鶴丸の視線に全てを露にする。

 

「くそっ、美味そうだな」
 

 先走りが滲むそれを卑猥な動きでしごきながら、悔しげに吐き捨てる。唇を噛みながら笑う顔は言葉と同様支離滅裂だ。
 

「う、ん、ぁ、つるさ、ん?」
「優しく、優しくだもんな。大丈夫だぞ光坊。鶴さんは約束を守る男だ」
「う、うん?」
「まったくどこもかしこも美味そうに育ちやがって~!鶴さん、君をすくすく育て過ぎたかなぁ・・・・・・」
「んんっ、」

 

 急におどけてくる。手の動きは止めないから、元々この姿だし、鶴さんに育てられた覚えはないよと口に出す余裕が削がれる。


「何にせよ、あまりこっちを放っておくのも可哀想だな。せっかく赤く色づいてるのに」
 

 ふっとそこに息を掛けた唇は、また舌を出す。乾かない粘度の高い肉の這う感覚は、やはり切ない気持ちにさせる。この切なさは嫌だ。どうしてか、噛まれた方がましだと思える。強く噛まれたらこの切なさから解放されるのに、鶴丸は執拗以上にねっとりと舐る。
 

「ふぅ、ん、いぁ・・・」
 

 右の太ももは鶴丸に跨がられ押さえられているが、自由な左側は膝が立ち、踵が浮く。
 胸はねっとりと、下は早く。それぞれ違う素早さの感触が腰をひきつらせる。びくっ、びくっ、と跳ねる間隔は頭の点滅とリズムが一緒だ。

 

「だめ、それ、一緒にされるの、すぐでちゃう、な、で、こんなはやく」
 

 好きな相手に性を直接責め立てられれば天にも昇る心地になるのは当たり前だ。だとしても、この感覚は早い。早すぎる。
 

「つるさん、や、ちりがみ、そこ、あるから、ごめんなさい、も、だめ、でちゃう、て、よごれちゃうから」
「ん、ちりがみぃ?」

 

 れろれろ舐り続けてた舌の動きを止めつつも、舌先はそこにくっつけたまま鶴丸が顔をあげる。燭台切が示した枕元を見て、おお?と感心した様な声を出す。
 

「気づかなかった。そこまで完璧に準備してたんだな。そっちのは、ろーしょんだっけか、潤滑油の代わり」


 のんびり言いつつちり紙に手を伸ばす様子はない。どころかまた舐める。
 

「ほんっとに、でちゃうから、も、むり、むり」
「ちり紙なんかに君のを受け止めさせるなんて勿体ないことするわけないだろう」

 

 ちゅこちゅこと卑猥な音を立てる手を更に早める。胸を舐めるために丸めていた背筋を伸ばし右側の耳に顔を近づけてきた。
 

「先端が膨らんではぜる感触も、あつぅい白濁もこの手で受け止めてやる」

 

だからこのまま出してごらん。

 

 と、どろどろの甘ったるい音の後にぬるりとした肉が耳の中に入り込んだ。今しがた胸の赤を舐めていた舌。くちゅくちゅ、ぐちゅり、と耳の穴から頭の中を犯される。


「ひっ、みみ、やだぁ!あ、あぁ・・・!ぁ、~っ!!」
 

 びゅくびゅくと、腹の底に溜まっていたものが熱い手の中に受け止められる。快楽から絶頂という名の解放に落とされた感覚だった。
 二つの責めに耐えきれず急停止していた頭が少しずつ機能を取り戻していくと、空気を塞いでいた詰まった喉が呼吸を思い出して、ようやく酸素を取り込む。

 

「よく出来ました」
 

 花丸満点を与える様に、ちゅっと額に唇をおとされる。
 

「いっぱい出たなぁ。気持ち良かっただ、ぅ・・・ん」
「んぁ、ん・・・、」

 

 顔を覗き込みながら白濁に汚れた右手を嬉しそうに見せようとしてくる。その右手に燭台切は左手を絡ませ、笑う唇を塞いだ。未だ息は整っていないが構いはしない。
 白濁にまみれた二人の右手と左手、そしてゆっくりと舌を絡ませながら、燭台切の右手は鶴丸の上半身を撫で、着流しを崩れさせていく。
 強烈過ぎて気持ちいいと思う暇もなかったが、鶴丸は燭台切の望む通り優しく絶頂へと導いてくれた。今度は燭台切が鶴丸を導く番だ。
 剥いた鎖骨から胸、薄い腹を撫でながらその白さとすべらかさ、そしてしっかりと男の骨付きに燭台切の腹の一番奥が締め付けられる感覚になった。何故そんな所が、よくは分からない。
 右手をうなじに滑らせると汗ばみ張り付く襟足が指に触れる。柔らかな髪質がしっとりするくらい鶴丸の体はずっと熱い。我慢を強いてしまった。ごめんねと、いう言葉も飲み込まれながらうなじからさらに手を滑らせ熱い背中を引き寄せる。
 鶴丸から塗りもらった自分の出した精、それにぬめる左手を、鶴丸の下穿きに伸ばしながら。


「わっ?」
「っうぁ?」

 

 そこに触れた瞬間、思わず驚きの声を上げてしまったのと、鶴丸が体をびくん!と揺らしたのは同時だった。二人の唇の間で銀の糸がぷつりと切れる。
 鶴丸はすごい勢いで顔を俯かせ、自分の中心とそこに触れる燭台切の左手を見、そしてこれまたすごい勢いで顔を上げて燭台切の顔を見た。目は見開き、顔は真っ赤である。別に達した訳ではなかったのに。

 

「なななな、何をしてるんだ君は!?」
「ご、ごめんなさい。挿入る為には硬くしないと、と思って触ったんだけど、触ったらもうおっきくて硬かったからびっくりしちゃって、」
「そ、そうじゃなくて、自分の精を俺に塗るなんて、なんてひひひ卑猥な!」
「卑猥、かな。だってぬるぬるしてた方が鶴さん、気持ちいいかと思って」
「君のを塗られたら気持ちいいとかどうとかいう前にその事実でイっちまうわ!俺の我慢を無駄にする気か君は!」

 

 熟れたトマトかと勘違いしそうなほど鶴丸は顔を赤くしている。揺れる瞳に理解しがたいと首を傾げた。二人だけの形になろうなんて死ぬほど恥ずかしいことを大真面目に言っていた癖に、こんなことでこれほど取り乱すとは。鶴丸の方こそ恥ずかしがる基準が可笑しいと思う。
 ともあれ、途端にふーふーっ、息を荒くし出す鶴丸は可哀想だ。もう我慢しなくて良いことを伝えなくては。

 

「鶴さん、もう我慢しなくていいから。鶴さんの準備が出来てるなら、挿入れて?」
 

 塗るなと怒られたばかりなので下穿きの上からそろりと撫でる。
 

「っ、だ、だがこのままじゃだめだ。君を丹念に慣らしてやらなけりゃ、君が痛い思いを、」
「準備、してきたから」
「へぁ?」

 

 ぽかんとまぁるく口が開く。今日一番の開き具合だ。
 

「中指までは入る様になったから、入る所だけちょっと気を付けてほぐして貰えば入ると思うよ。少し、想像より大きかったけど、一番太いところが入れば大丈夫、たぶん」
「・・・・・・」
「あ、準備してる所想像しないでね。鶴さんの、萎えちゃうだろう?本当は言うつもりなかったんだよ。スマートじゃないし、格好つかないから。でもね、だから本当に、もう我慢しなくていいんだよ」
「イったのか?気持ち良かったか?俺のこと考えた?」

 

 ずい、と顔が近づいてくる。瞳を細かく揺らして矢継ぎ早に質問を問いかけてくるから苦笑いしてしまう。
 

「だから、想像しないでってば。でも、そうだな。気持ち良くはなかったかな。鶴さんのが挿入る為の準備に過ぎないし、客観的に見たら格好悪くてそっちの方が気になっちゃったし。鶴さんの楽しみを奪わない程度に解れて、もし鶴さんを抱くのであれば怪我をさせない為に自分の体で試せればいいやって感じだったから」


 言うつもりではなかったが、質問されたことによって一週間かけての準備の記憶が甦って答えがつらつらと口をつく。
 

「あ、でも本当に大丈夫だから。貴方を気持ちよく出来るかは分からないけど、そのまま我慢するよりは良いだろう?僕は優しくしてもらったから、次は鶴さんが満足する番だよ」
「へぇ~?」

 

 尻上がりの疑問符が、興味深そうな感嘆にくっつく。目の前の瞳がわずかに開いている。この目、この表情をよく知っている。驚きや新しいこと、興味深いものを見つけた時の好奇心がさせる顔だ。もしくは何か、鶴丸的に良い事を思いついた時の顔。


「光坊や」
「な、何?どうしたんだい」
「時に意気地無し、時に奥手こじらせ男だと自分自身を罵ってきたが、俺は今ほど自分の理性の強さに感謝したことはないぜ」

 

 そして手を伸ばす。その先を追って見上げた。掴んだのは燭台切が準備したローションだ。
 

「使うぞ」
「う、うん」

 

 ローションを手にした鶴丸は燭台切の上に覆い被さるのをやめ、その場に座り込む。鶴丸の行動をよく見るべく、燭台切も両肘を布団に突いて上半身を起こした。
 蓋が開いたローションが逆さまにされ、鶴丸の手にとろとろと、透明の滴が線になって落ちていく。

 

「お、冷たくない」
「鶴さんに使う場合を考えてそういうタイプの買ったんだ」
「成る程なぁ。心遣い溢れる良い判断だ」

 

 容器を強めに潰してぐにゅう、と入り口の大きさより過多なローションを手に落とす。鶴丸がその気になったのだと悟った。
 言われる前に、両膝を立てて鶴丸の体の幅より少しだけ大きめに足を開いた。恥ずかしいとは思うけれど、嫌だとは微塵も思わない。負担云々を置いておいても、鶴丸の欲望を飲み込めるなら受け入れる側で良かったなと思う。

 

「察しの良い子」
「鶴さんの初夜宣言からこの為に準備してきたんだもの」
「あれは俺自身を奮起させる為であってそういう意味じゃなかったんだが、健気だなぁ」

 

 鶴丸がローションまみれの手を、開いた割れ目に滑らせ、全体に馴染ませる様に撫でた。さすがに勢いよく指を埋め込まれるのは不安だったので、ほっと息を吐いてしまった。
 ぐちゅぐちゅとローションが塗りたくられ、足りないとばかりにまた足される。冷たくないのは良かったが、撫でられる度に粘着音が響くのは恥ずかしい。けれど鶴丸がスムーズに入っていくのは必要な粘度なのかもしれない。
 そんなことを思っているとそろそろと指が後孔を指先で押し始める。粘着が高いせいか触れた指が吸い付くように感じた。いや、逆なのかもしれない。入り口が指に、吸い付いたのだろう。


「いくぜ?」
「ぅ、」

 

 思わず息をつめてしまった。力が入ってはいけないと慌てて息を吐く。するとゆっくりと確かめる遅さで中指が入ってきた。男らしい節くれだった指の間接も超えて奥まで。
 

「お、いけたな。二本いけるか?」
「いけ、ると思う、」
「だな」

 

 ゆっくりと指が抜かれ、さらにローションを手にまみれさせながらの鶴丸の問いに頷く。鶴丸も感触から分かっていたのだろう、頷き返してくれた。聞いてきたのは燭台切の心構えの為だ。鶴丸は本当に優しい。
 

「なぁ光坊。君って優しいよな。健気で親切で、俺は君のそういう所も大好きだ。俺が好む性質を、君が持っていてくれるのも嬉しい」
 

 燭台切の考えていたことを、鶴丸が優しい刀の名前を変えて口に出す。突然嬉しそうに話し出す理由が分からなくて瞬きを返してしまう。
 

「俺はさ、君が好きだから、君と一緒にって言うのがすごく好きなんだ。ただの我慢はごめんだが、その為の我慢ならいくらでも出来るぜ?」
「あ、りがとう?僕も鶴さんに同じことおもっ、う、ん・・・、」

 

 ずず、と二本の指、作っていた手の形からして中指と薬指がだろう二本が入ってきた。一本の時よりきつく、更に時間をかけてだったがやはり奥まで全て飲み込むことが出来た。
 

「も、挿入る、よ」
「かもな」

 

 二本の指がゆっくり抜かれていく。ああ、やっとだ。やっと鶴丸の我慢が終わる。そして、鶴丸が中に入ってくるのだ。その意思で、体で、狂暴な欲で自分の中を変えられていくのかと思うと羞恥で目の前が眩みそうになる。けれど、それ以上に自分は、嬉しいのだ。その瞬間を見るには羞恥が大きすぎて、起こしていた上半身を布団の上へ横たえた。
 両足を抱えられるか、押し上げられるか。後ろを向けと言われるかもしれない。四つん這いは格好がつかないけれど、鶴丸が望むなら。


「ん、っく、・・・?あれ、つるさん?ゆび、もういいよ?」
「知ってる」

 

 鶴丸が腰も進めていないのにぐじゅ、と音がする。入ってくる太さにそれが先ほどと同じ二本の指だと分かった。鶴丸の太さはこんなものではないと直に触れて知っている。
 その疑問を指摘するが鶴丸はあっさり頷くだけだ。

 

「じゃあなんで指、っぃん、なん、うぁ・・・っ」
「冷たくない、よな?」

 

 中に生ぬるいものが。顔だけ下を向いて確認する。見るに、二本の指が後孔を広げ、そこからローションが流し込まれたらしい。まだ挿入るには心もとないのか。
 ぐっじゅぐっじゅ、と中に注がれた粘着ごと指が肉壁を押し進んでいく。三本だ。指先の動きからあっさり一本増えていることが分かった。


「あ、あっ、なか、が」
 

 本数を意識したからだろうか、急に息苦しくなってきた。息を整えようとするのに、短く切れた息が止まらない。はっ、はっと言う息が煩くて左手の人指し指を噛む。少ししょっぱい。汗か、まみれてしまった自分の精か、軽く触った鶴丸の味か。
 

「ふ、ん、ふぁ、」
 

 指を噛んでいても声が漏れる。抑えようとしても抑えられないのだ。Google先生が開示していた知識に載っていた、前立腺で快楽ではないと思う。指はぐっぽり根本まで入り込んでいる。自分が解していた時と同じように。
 しかし自分で解したときには、こんな感覚にはならなかった。脳の端から徐々に溶けていき、声も抑えられないなんてことはなかった。指の本数が増えたから?他人の指だから?中がぐじゅぐじゅに濡れているから?
 どれが、どれが原因だろう。


「ん、あ、ああ、ぁっ、こし、うごいちゃ、」
 

 開いていた足は膝を曲げたまま爪先だけで布団の上に立ち、腰が浮く。指が出し入れされるたびにがくがくと、勝手に動く。意識してないのに動く、意識して止めようとするのに止められない。
 鶴丸は目元も頬も真っ赤に染めながら唇を噛み締めていた。我慢している様に見える。もう必要ないはずなのに。もう挿入るのに。
 その必死にも見える姿が動く腰とそれにつられて揺れる自分自身の屹立の向こうに見えた。
 触れてもいないのに、また勃っている。先端からとろ、と精混じりの滴が糸を引きながら腹に落ちていく。


「なに、なにこれぇ・・・、ずっと、ひろがるの、つるさん、つる、さ・・・っ、んぅ。いれて、あっあ、も、いれておねがい、このまま、はや、くぅ・・・っ!」
「入れてほしくなったか?なら、もっと大きく足を開けるかい?」
「ん、んっ!」


 浮く腰が鶴丸の片手で布団へ押し付けられる。それに迷わず大きく足を開く。
 いれて、はやくと繰り返す。自分で何を口走っているのかわからない。咥えた指で痺れている口腔を自分でかき回す。もっと、この指がもっと太いものだったらいいのに。さっきこの手が触れたものくらい。
 ああ、けれどそれはやはり中に、ナカに入れて欲しい。頭の中が鶴丸だけに対する請いで一杯になる。
 ごく、と鶴丸の喉が大きく鳴るのが目にも見えた。
 熱い手に大きく開いた膝裏を押し上げられる。鶴丸が腰を進めるのが分かった。来る、くる、ナカに。

 

「ぃいんぁあっ!」
「ぅ、~っ、長年、培ったっ、鋼の理性、は、舐めるなよ・・・っ」

 

 ず、ず、ずと、先端が入り口からぐずぐずになっているだろう肉の波を信じられない遅さで突き進んでいる。遅い、でも太い。
 自分のナカに、鶴丸が入ってきたのだと分かる。ゆっくりゆっくり張ったエラが自分を広げていくのが分かる。熱い、そこから全身に熱が巡る。


「ひ、ひ、あ、ああ・・・っ、」


 気づけば自分の先端はどろり、と重たい白濁を吐いていた。出した感覚もなかった。いれられただけでいくなんて。淫乱、といつか見た動画の誰かの詰る言葉が甦る。
 

「はい、ったな」
「んぅん!うあ・・・、は・・・っ、んぅあぁ、」

 

 ゆっくりの挿入は先端が奥の壁に当たるまで、鶴丸の根本まで全部くわえこむことで止まった。それ以上奥にも進まないし、後ろにも引かない。揺さぶられもしない。だから広げられたナカの肉が鶴丸を包んでいく。
 

「んく、うぅぅ、」
「はぁ、っは・・・、」

 

 支配される。包んでいるのは燭台切なのに、ただ入っているだけの欲望に。
 右手が体の下に延びて自分の太ももを掴む。そうしても、そこから広がる感覚をまぎらわせられる訳でもないのに、指が太ももの肉に食い込む。
 身悶えても身悶えても、このもどかしさの出口が見当たらない。大きく叫ぶほどじゃないのに、息と声が漏れ出るのを止められない。静かな果てしないこの快楽。


「やぁっ、はっ、うう、」
「みつぼ、また、いったのか」

 

 焦点が揺れながらも鶴丸を見れば、鶴丸もまた静かに身悶える燭台切の顔を、まだ萎えない屹立越しに見ていた。視線がつい、と下に下がる。どろりと汚れる腹の上を見た。ああ、淫乱だと言わないで。
 

「良かった、気持ちよかったんだな」
「つる、さ、ぁ」
「ふ、光坊、君、見たことない顔してるぞ」

 

 入っているままの鶴丸が慎重な動作で、上半身を倒し燭台切の顔を覗き込みながら両頬を包む。片方はローションにまみれていたが、そんなこと気にならないくらいと柔らかな感触だった。


「いつもの格好良い顔がやらしくとろとろに蕩けて、気持ち良さそうで、それなのに少しだけ泣きそうな顔してる」


 ふわりと、鶴丸が微笑む。男の匂いを汗ばませ、瞳を淫靡に溶かしているのに、慈愛に満ちた優しい表情だった。鶴丸の方こそ見たことのない顔だ。
 

「大丈夫。気持ちいいって言ってごらん、安心するから」
「ん、きもちっ、ぁん・・・っ、きもち、いい、きもちいい・・・!」
「俺も。すっごく気持ちいい」


 汚れていない方の手で頭を撫でられる。ぐずぐずに溶けた肉塊の脳に、愛情という知性を与えてくれる手に思えた。そうか、これは肉の配合でも獣の交わりでもないから、それを常に持っていることが大事だったのだ。


「ふたりでいっしょに、気持ちいい、な?」
「うん、うん・・・っ」
「大好きだ、光忠」
「つるさんっ、」

 

 両手を伸ばしてぎゅっと抱き締めた。素肌同士が直接当たって気持ちいい。安心する。


「ぼくもすき!ぼくもだいすき。きもちいい、つるまるさんのすごくきもちいい、だいすき、すき、いっぱいなのうれしい」
 

 好き、気持ちいい、大好き、嬉しい。繰り返すとじんわり、じんわりと心地よさが体の奥から全身に広がっていく様だった。満たされていく、という表現が正しいかもしれない。鶴丸と繋がれて、一緒に同じくらい気持ち良くて、包んで、満たされて、幸せだと心からそう思う。
 それにしても声に出すだけでこんなに違うものなのか、驚きだ。
 止まらない幸福感に抱き締める両腕に力が入る。ぎゅむぎゅむと鶴丸を潰すように。右耳でくす、と笑う音がする。

 

「なぁ光坊、ちょっとだけ、動いていいかい?」
「うんっ、動いて?うごいてほしい」


 鶴丸はゆさゆさと腰を揺らす。抱き締めあったままだから大きく抜き射すこともなく、前後に波打たせる。鶴丸の形をぴったり包んだ燭台切のナカもそれによって揺さぶられる。
 

「あ、あっ・・・、つるさんの、なんか、っぁん・・・さっきよりおっきくなってる、きもちいい?」
「きもち、いいっ、ぜ」


 抱き締めたまま、顔のすぐ右側にある鶴丸の顔をみる。ぎゅっと目をつぶり、眉を寄せている表情が必死で可愛くて、でも淫らだ。
 

「かわいい・・・、つるさんすごく可愛いよ、やらしい顔してる」
「っ、君の声、腰にクるんだよっ」

 

 ぐ、と歯を食い縛る様に鶴丸が唸る。けれども、ぐぐっとまた大きくなったのが分かった。やっぱり可愛いくて愛おしい。腹のナカで蕩けているこの男が。
 

「んあっ!ごめ、ごめんなさい、鶴さん。あっあ・・・!ぼく、ぼく、ちゃんと、はぅっ・・・ぅんう・・・っ、ぴったり貴方の形になれない、かもぉ・・・!」
「こんな、こんなに、なってるのに?」
「だって、だって、ぇ!鶴さんのあつくて、ぼく、中から溶けちゃいそ・・・っ」
「っき、みっていう、男は・・・っ!」

 

 はっ、はっ、今までになく荒く熱い息が右耳に掛かって燭台切もぶるりと体が震えてしまう。


「だめだ、悪い光坊、なぁ、いいか、みつただ、このまま、このままっ、」
 

 胸や、揺さぶられている腹がきゅぅきゅぅと切ない甘さで締め付ける。びくびくとナカで震える鶴丸と共に。
 

「出して、だして・・・っこのまま、あなたの全部を受け入れさせ、て・・・っ!」
「ぐぅ、っあ・・・っ」
「ひあぁ・・・っ!っああぅんっ、あっ、い、あつ・・・、ぃ!」


 腹のナカで跳ねる様にはぜる。一番奥で、更にその奥を目掛ける様に勢い良く注ぎ込まれる白濁の熱さは、直接頭の中まで白く塗りつぶしていくようだ。
 手先の重さの感覚がなくて、宙に一瞬浮いた様な。
 体が勝手にぶるりと震えてようやく、体の重さを思い出す。その不思議な感覚に、ぼんやりと目が覚めたように瞬いたと同時に、ばたりと鶴丸が自分に倒れ込んできた。まだ息が乱れている。お互い様だが。
 しばらく荒い息だけが部屋に響いていた。鶴丸が遮っていないから明かりが直接燭台切を照らしている。今鶴丸の背中は汗で光っているだろうな、とそんなことをぼんやり考えた。
 体が重なっていることでどこそこ密着している。しっとりとした胸が呼吸で膨らみお互いに擦りつけ合っていたがそれも漸く収まってきた。


「こ、れはヤバイ。知る前には戻れん、な・・・・・・」
「ほんと、だね。気持ちよかったぁ」
「ってか幸福感がすごい、あれ、俺、泣くかも」
「泣かないでー、いい子だから」
「あ、待て光坊、頭撫でるのやめて光坊。マジで泣く」
「じゃあ背中撫でる」
「やめっ、何で人差し指でやらしく撫でてくるんだよっ。それは諸々がやばい」
「もう、どうしろって言うんだい」

 

 足を絡めながら戯れの様に言葉を交わす。途中で鶴丸がどうにかこうにか布団に両手をつき上半身を起こした。戯れだと思っていたのにその二つの金の瞳は本当に多分な水分で潤んでいる。驚いた。なんだこの可愛い男は。


「とりあえず抜くからな」
「んっ、」

 

 ずるりとすっかり芯が柔らかくなった竿が、中から出ていくのがわかった。
 

「あと、中も掻き出すぜ」
「い、いよ、後で。自分でするから」
「やだ。ここまで俺の役目。その後ゆっくり沢山いちゃいちゃする」


 こんな風に言う時は絶対聞かない。知っている。まぁその後沢山いちゃいちゃしてくれると言うなら、恥ずかしさも耐えるとしよう。よいせ、と燭台切も上半身を起こしてそれを見守る。
 

「~っ、すげぇ、出てる。何だこれ、これ一回分?ぇ?」
 

 鶴丸も恥ずかしそうにしている。可愛いなぁと何度目か分からない。
 

「熱かったぁ、奥までいっぱい出されて頭真っ白になっちゃったよ」
「お、終わってからの羞恥プレイとか」
「いや、次の為に感想大事かなって。やっぱり鶴さんの羞恥ポイントおかしくない?」
「君にだけは言われたくない!」

 

 がぅ!と噛みつく様に叱られる。そうかな、と唇を尖らすとそうだ!とまた叱られる。かと思えば、鶴丸ははた、と何かに気づいた様に瞬きをした。
 

「ん?でも、そうか、次な。うん、次の為に必要なことはあるよな」


 そして急に、にやん、と口の端をあげる。
 

「なぁ、光忠~?」
「何だい?」
「次の為に言ってくれたことを無下にしてごめんな。次のことを考えて行動するのは大事だよな。いいぜ、どんな恥ずかしいことでも、感想どんとこいだ!・・・でな、俺も次からの為に、君に覚えてもらいたいことがあるんだ」
「うん?鶴さんがそういうからには大切ことなんだね?わかった、僕しっかり覚えるよ」
「いい子だなぁ、君は」

 

 鶴丸は愉しそうに目を細める。中の白濁を掻き出しながら。
 

「ゆっくりするから、ちゃんと覚えるんだぞ?この中の、」
 

 にやにやとした口調のまま、掻き出す指を節だった間接の長さくらいまで埋めて、くるりと回す。
 

「!?」
「ここだったよなぁ」

 

 ぞわぞわぞわ!と全身の毛が逆立つ感覚に目を見開く。そして鶴丸がぺろりと口の端を舐めた。あ、ろくでもない顔だ。
 その感想を口に出す間もなく、ぐっと指が押し込まれる。

 

「ひあぁあッ!?」
 

 突然目の前に火花が散った。
 

「ここを覚えとけよ。次からはここを擦るからな」
「やあ、ああぁっ、あぅっ!」
「ここを、俺のこの指で、パンパンに張ったエラで沢山沢山擦って押し潰すから、この感覚をちゃんと覚えておきなさい」

 

 よし覚えたな?ならおしまい!と指が名残惜し気もなくずぼっと抜かれた。何だ今のは。まだ目がちかちかする。
 

「ひ、あ、はっ、なに、なに今の!?」
「前立腺~」
「こ、これが!?」


 これがGoogle先生が開示していた噂の器官。信じられない。だって鶴丸が挿入ってきた時にはこんなことには、
 

「今日はわざと避けたんだからな。次は遠慮しないぞー」
「ひ、や、やだ!!」

 

 布団の外に出されていた掛け布団を手に取り、頭から覆い被さった。
 

「何今の怖い!やだ!やだやだ!もう十分だよ!今日みたいなのが良い!幸せいっぱいなのが良い!」
「だめー。次は俺が好きにするの。大丈夫、今日と同じくらい幸せな夜にしてやる。ぶっ飛ぶくらいの」
「やだ!!!」
「ふっ、ふふ、あはっ!はははっ!君ってほんっと面倒くさい!!!」
「うわ!?」

 

 掛け布団の上からがばっと抱きつかれて、見えない視界が大きく揺れた。
 

「面倒くさい君と、何回も何十回も忘れられない夜を過ごしていけるなんて最高だ!ってなわけで光坊!一週間後、するか!」
「な、何を?」


 この流れ。間違いないと分かっているのに願いながらに聞き返す。どうかどうか、いつも燭台切を驚かせてくれる鶴丸が予想外のことを言ってくれます様にと。
 

「二回目の二人の夜!一週間も時間をやるんだ。今度はしっっかり心の準備を頼むぞ、伊達男」
 

 見えないウインクが掛け布団を通り抜けて、燭台切に突き刺さる様だった。無慈悲に。
 ああ、なんてことだ。時は止まらない。もう一週間後に向かって時は流れている。

 

「や、」
 

 燭台切は歴史を守る刀剣男士だ。時が止まることも遡ることも望まない。いくら幸せな夜だとしても、今夜を繰り返すことだって望まない。例え一週間後に恐怖の夜が待つとしてもだ。
 それにどうせ避けられない恐怖なら怯えて逃げるより立ち向かう方が格好良いではないか。
 だが、どうか。どうか今だけは格好悪いことを一つ叫ばせてほしい。

「やだあぁー!!!」

 


 この部屋が防音で本当に良かった。

おまけの次の日の話

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